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合同会社の社会的信用

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合同会社の社会的信用

合同会社の社会的信用

2025/05/09

企業の際に合同会社設立を躊躇する理由の一つとして、例えばインターネット検索で「合同会社」と入力すると、「合同会社 やめとけ」などという検索候補が表示されることがあり、これらが心理的マイナスイメージとなることもあるのではないでしょうか。
合同会社はなぜこのようにマイナスイメージで捉えられてしまうのでしょうか?
様々な理由はあるのでしょうが、主な理由を挙げると次のようなことが考えられます。
1 株式会社よりも認知度が低いから
2 社会的な信用度が低く、取引先に懸念される場合があるから
3 資金調達の選択肢が限られ資金不足になる場合があるから
4 代表者に権限が集中してワンマン経営になる場合があるから
5 社員同士が利益分配する際に揉めるおそれがあるから
 

1,2については、
合同会社は2006年5月の会社法施行で新しく設けられた会社形態で、まだその歴史も浅く株式会社と比較すると社会的な認知度で劣るのは否めません。それでも近年では合同会社の数は確実に増えてきています。
政府統計ポータルサイトを見てみると、本年1月の会社設立総数12,752件に占める株式会社の設立は8,914件、これに対し合同会社の設立は3,834件でこの2つの形態がほとんどを占め、それ以外の形態は僅か4件でした。
2月の統計をみても、会社設立総数10,367件、うち株式会社7,032件、合同会社3,332件、その他3件と同じような傾向が見て取れ、確実に合同会社の設立件数・認知度は上がっていると言えます。
とはいえ合同会社の社会的信用度が低い理由の一つに「決算公告の義務がなく、役員の任期もないこと」「閉鎖的なイメージがあること」「設立の容易さ」などが挙げられ、これらの理由から、特にビジネスにおいて取引先や金融機関からの信頼が重要となる場面では、不利になる可能性があります。
3については、
合同会社の資金調達方法は、金融機関からの融資のほか、国や自治体の補助金や助成金が主な手段となりますが、設立間もない時期だと融資や助成金を受けることが難しい場合があります。株式会社であれば株式による資金調達も選択肢にありますが、合同会社の場合はそれもできないため、株式会社に比べて資金調達の手段が限定されてしまいます。会社設立後に資金不足に陥ってしまわないよう起業前にしっかりと資金計画を立てて、創業資金や運転資金がショートしないよう準備する必要があります。
4については、
合同会社は、多くの場合、設立時に代表権を持つ代表社員を決定しますが、代表社員には強い権限があるため、他の社員の意見を聞かずに経営を行うこともできるからです。さらに、合同会社には、株式会社における株主総会のような外部の意見を聞く機会(機関)がありません。
このような事情から確かに権限が集中してワンマン経営に陥るリスクはあるかもしれませんが、それは株式会社であっても同じことが言え、例えば創業者(創業家)が株式のほとんどを所有している会社では、権限が集中してワンマン経営となっている会社もたくさんあります。

代表者に権限が集中し、独断専行が起こりやすい環境であればこそ、そうならないために他の社員にもある程度の権限を与え、権力の分散を図るようにすることを考えていくべきです。
5については、
株式会社の場合、出資者(株主)への利益配分は出資比率に応じて決まり、出資金が多い人ほど多くの利益を受け取る仕組みです。それに対して合同会社では、出資比率にかかわらず、定款の定めによって利益配分を自由に決められます。技術力や業績など、出資額だけではない様々な要素で利益配分を決められるのは、合同会社の特徴のひとつでメリットでもあります。
しかし、この利益配分を決める際に、社員の間に不公平感や不満が生じ、トラブルを招く可能性があるのも事実です。そのような事態にならないよう、利益配分を決める際には、社員同士に不公平感が生まれないようなルールづくりをしっかり行い、それぞれの社員からの合意を取って後で揉めないように気をつけなくてはなりません。

合同会社は、出資者(社員)が会社の経営を行うため、出資と経営が分離される株式会社に比べ迅速な意思決定が可能です。また、株式会社より設立費用や毎年かかる費用が少なく、設立にかかる時間も短いというメリットもあります。そのため、会社を設立する際に、合同会社が選ばれるケースも増えてきています。自身の業務内容やこれからの事業展開を見据え自分にあった企業形態を慎重に選びましょう。

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