遺言のもつ意味
2025/05/18
遺言とは、自分が生涯をかけて築き守ってきた大切な財産(遺産)を、最も有効かつ有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。
遺言は大きく分けて自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三つに分類されます。それぞれ特徴として、
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文を自筆で書く(日付、氏名、押印を含む)もので、費用が安く、手軽に作成できるものの保管が不適切だと紛失や改ざんのリスクがあります。現在は、自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」が新設され、この制度を利用することで遺言の形式について遺言書保管官の外形的なチェックを受けることができるほか、家庭裁判所の検認も必要なくなりました。
公正証書遺言は、遺言者が公証役場に出向き、証人2人の立会いのもとで遺言の内容を口頭で告げ、公証人が遺言者の意思を遺言書に作成し、間違いないか確認して本人、証人、公証人がそれぞれ署名押印して完成します。公証役場で原本を保管するため、改ざんや紛失のリスクが低く、公証人が遺言の内容や存在を公的に証明する役割を担っていることから、相続人が紛争を起こす可能性も低くなります。
秘密証書遺言は、公証人の立会いのもと、遺言者が作成した遺言書を封筒に入れて封印し、遺言者、証人、公証人が署名・押印することで、内容を秘密にしたまま遺言の存在を証明してもらうものです。公証人も遺言書の内容は把握しませんし、その存在だけを証明してもらうことができるので、遺言者の意思は秘密裏に守られます。
それではいったい何のために遺言を残すのでしょうか?
私は遺言書を作成して残すことに、二つの意味があると考えてます。
その一つは、相続争い(争族)の防止です。
世の中では、遺言がないために、相続をめぐり親族間で争いの起こることがしばしばあります。私自身の親が亡くなり二度の相続を経験していますが、兄弟の関係は良好なものの詳しい説明のないまま長兄一人で処理したことに若干の不満を持ったことも事実です。
今まで仲の良かった者が、相続をめぐって骨肉の争いを起こすことほど、悲しいことはありません。遺言は、家族の争いという悲劇を防止するため、遺言者自らが、自分の残した財産の帰属を決め、相続をめぐる争いを防止しようとするのがその最大の目的です。
もう一つは、被相続人である遺言者が、大切な相続人である遺族に対して、自分の考えや想いを伝える「最期のメッセージ」という意味合いもあります。
だからこそ、私は遺言について相談を受けたときには、遺産について誰に何を相続させるのかといった実質的な内容を明確にし、きちんと整理して記載したのちに自身の生前の想いや死後の心配事、例えば「兄弟が助け合って母さんを支えてくれ」といった自身の想いを書き綴るようお勧めしています。
また、遺言書を作成するに当たっては、事前にエンディングノートなどに整理したうえで記載すべき内容に漏れがないように作成することをお勧めしてます。
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