遺産分割の手順(その8)
2025/06/30
遺産分割の手順(その8)
戸籍調査(収集)と相続財産の調査が終了して遺産目録を整理すれば、細かいことはさておいて、最初の事務的な作業は終了し、次は遺産分割協議という具体的な話し合いに入ります。
この遺産分割も決まった額の現金を法定相続分づつ分配するというのなら簡単ですが、遺産の中には現金や預貯金といった金融資産もあれば、自宅や貸家といった不動産、車や貴金属などの動産もあり、これを金銭的な価値に評価して置き換える作業も必要となります。また、故人の遺言書がある場合は、必ずしも法定相続分に沿った分配にはなっていません。
特に、高齢で田舎に住まわれている方の中には、従前の家督相続といった考えを持っておられる方もいらっしゃり、遺言で「遺産は全て長男に相続させる」といったケースもあります。
このようなケースの場合、他の相続人が納得していればいいのですが、納得いかないという方がいる場合等しばしば争い事になります。
そうした場合に、相続人同士の話し合いがうまくいかなかったり、当人同士で直接話したくない場合など、家庭裁判所の家事調停(遺産分割調停)を利用して話し合うことも可能です。調停は、基本的に裁判官1人と調停委員2人の計3人で調停委員会を構成し、それぞれ相続人から事情を伺いながら協議(話し合い)を進めていくことになります。調停での話し合いがまとまらない場合でも、裁判官による審判に移行して、関係者の意見を聞いたうえで判断するため、結果的に法定相続分の権利に沿った結果に導かれることが多いようです。
遺産分割調停のことはさておいて、「遺産の全てを特定の相続人に相続させる」といった遺言がある場合は遺留分の問題が出てきます。
遺留分とは、分かり易く言えば「法定相続人に対する最低限の相続財産の保証」ということになります。遺言書の指定や遺贈等によって、特定の相続人が財産を受け取ることができない場合でも、民法によって最低限相続できる割合が定められているのです。
遺留分の割合は、配偶者と子の場合は法定相続分の2分の1、直系尊属(親や祖父母など)の場合は法定相続分の3分の1とされていますが、兄弟姉妹には遺留分が無いので注意が必要です。
また、遺留分は、法律によって相続人に最低限の相続財産を保証する制度ですが、被相続人(故人)により相続排除されている場合や、相続欠格者該当する場合には、この保証が受けられないこともあります。
自分の相続分に疑問のある方は、また納得がいかないという方は、専門家に相談されることをお勧めします。
調停や裁判といった手続き意外にも“遺留分侵害額請求”といった方法もあることから、何か良い方法が見つかるかもしれません。
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