相続財産を負動産にさせないための対策(その1)
2025/07/27
先日松山市の発行する “あなたの空き家が負動産になる前に”と題したパンフレットを目にしました。
現在、愛媛県を含め全国の地方都市で人口減少が深刻な社会問題となっています。先般行われた参議院議員選挙では、物価高以外に社会保険料の高騰も一つの論点として取り上げていましたが、少子高齢化による人口減少は様々な課題を浮き彫りにしており、地方では誰も済まない空き家の管理も大きな社会問題となっています。
実際に空き家を相続した場合にどんな問題が起きているのでしょうか?
その一つの例として私の知人の例をご紹介します。
もともと田舎にご両親の住んでいる実家があり、相続した知人を含め兄弟は皆県外に就職して持ち家を持っていました。ご両親が他界後は長男である知人が実家を相続し、いずれ退職したら夫婦2人で田舎に帰り、野菜でも作りながらのんびり暮らすつもりだったそうです。
ところがいざ退職して実家に帰ろうとすると、まず奥様が田舎暮らしに難色を示し、はじめは1人で月の半分くらい帰省して実家や田畑を管理していたものの、今度は自分の体力も衰え、次第に病院通いも増えて帰省もままならなくなってしまい、とうとう管理もできなくなってしまったようです。
また、売ろうと思ってもなかなか買手も見つからず、解体するにしても費用が掛かるうえ、解体後は住宅用地ではなく更地とみなされることから、”住宅用地の特例”によって最大で6分の1に軽減されていた固定資産税の税率が跳ね上がってしまうのです。
全く使う予定のない土地にずっと税金を払い続けるだけでなく、草を刈ったり土地を管理する手間もかかり続けます。自分が生きている間は生まれ育った実家ということで思い入れもあるでしょうが、住んだこともない都会育ちの子供たちにとっては、相続するにしても迷惑不動産に他ならないといったことにもなりかねません。
そうして相続登記もされないまま何代も放置され、いつの間にか誰が所有者かも分からない危険な状態の空き家が増え続けているのです。
幸いその方は、私の紹介で解体費用を払って更地にして売却できたため、解体費用ぐらいは回収することができました。それも小学校や公的施設に程近い立地条件の良い場所だったことから実現できたものです。
売却後の弁として、「親から相続する時点で家族ともよく話し合って処分しておくべきだった。」と言われていました。相続の時点では割と新しかったご実家も、経年とともに価値は下がり修繕個所も増えてくるため、田舎の場合はなかなか買手が見つかりません。将来のことをよく検討してから早めに動かないと将来大きなつけを負うことになります。
これから何回かに分けて、相続不動産の問題を取り上げたいと思います。
当事務所は、宅地建物取引士やマンション管理士などの資格を持つ行政書士が、不動産コンサルと合わせて相続に関するご相談を承っています。お気軽にご相談ください。
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