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相続財産を負動産にさせないための対策(その2)

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相続財産を負動産にさせないための対策(その2)

相続財産を負動産にさせないための対策(その2)

2025/08/03

相続財産を負動産にさせないための対策(その2)
誰も使用する予定のない不動産を相続した場合に、どのような問題が起きているのでしょうか?
今一番問題となっているのが所有者不明の不動産です。
相続が発生してから、相続人ご本人のみならず子・孫と何代にも亘って登記手続きをしないまま放置したため、いつの間にか推定相続人が多数になってしまい、その多くがその場所に自分に相続の権利がある不動産があることさえ知らない、つまり、誰も使用しない(誰もいらない)迷惑な負動産が残ってしまうのです。
何代も前から必要な登記がされないまま、経緯を知る方も既に亡くなっているため、その間の遺産分割の経緯等も不明で、今となっては正確な所有者も分からない。そういうケースが増えると、いったいどんな問題が起こるのでしょうか?
実際にそのような不動産が問題となっているケースの多くが、長い間放置されているため劣化が進み、今にも倒壊しそうな危険な空き家になっているのに誰も責任を取ろうとしない。行政が所有者に代わって行政代執行としての解体手続きを進めるにも、費用もかかるし代金を請求する相手も分からないため、遅々として手続きが進まない。
また、道路や公共工事の対象地に該当しても買収や立ち退きの手続きが進まず工事ができないなど様々な問題が指摘されてきました。
そうした問題を解決するための一手として、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
これは、所有者不明土地の増加を防ぐための法改正で、相続人が不動産を取得した場合、一定期間内(所有権取得を知った日から3年以内、遺産分割が成立した場合は、その成立日から3年以内)に登記申請を行うことが法律で求められるようになったものです。また、この法改正には罰則が設けられており、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が課されます。
ここで注意しなければならないのは、施行日前(2024年3月31日以前)に発生した相続で登記未了の不動産も対象とされることです。2027年3月末まで3年間の猶予期間はあるものの、過去の相続にも遡って登記する必要があるということです。
とは言っても、長い間には身内同士で疎遠となったり、所在そのものが不明というケースもあります。それでは相続人の一部と連絡が取れず、分割協議が進まない場合はどうすればよいのでしょうか?
その対策としては、主に次の4点が挙げられます。
①    一つは法定相続分による登記で、行方不明者を含めた法定相続分で共有登記する方法です。この方法は単独申請が可能で登記の義務は履行できますが、共有状態が続くため次の世代へと移行した場合にも処分が困難であり、問題が一層複雑になる可能性があります。
②    二つは相続人申告登記で、今回の法改正により設けられた制度で「相続人であることのみ申告する制度」です。登記の義務履行と過料という罰則の会費はできますが、あくまで所有権移転ではないため、後日登記が必要となります。
③    三つは不在者財産管理人の選任で、家庭裁判所に申し立て、不在者財産管理人の選任を得たうえで当該代理人と遺産分割協議が可能になります。ただ時間と予納金・代償金といった費用がかかることになります。
④    四つは失踪宣告の申立てで、7年以上生死不明なら死亡とみなすという制度です。この場合失踪者は相続人から除外できるので、その者抜きで分割協議が可能となります。ただ7年以上と期間も長く、要件が厳しいという問題もあります。
いずれにしても早期の登記が困難な場合は、法務局や専門家に相談されることをお勧めします。

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