相続財産を負動産にさせない対策(その3)
2025/08/09
相続財産を負動産にさせない対策(その3)
それでは実際に不動産を相続して登記をしたものの、長年使用しないまま放置するとどのような問題が起きるのでしょうか?
山の中のポツンと一軒家なら、杭を打ってロープを張り、立ち入り禁止の表示をしておけば、白アリが家屋を食い荒らして倒壊するようなことがあっても、そうそう他人に迷惑をかけることも少ないでしょう。
ところが周囲に人家があったり、人が通行するような場所ではそうはいきません。
空き家から瓦が落下して通行人がけがをした。ブロック塀が倒壊して人が下敷きになった。誰かが勝手に入り込んで火の不始末から火災が起きてしまった。
このようなケースでは、最終的に所有者が責任を負わざるをえないことになります。人が怪我をしただけでも大変なのに、これまでには死亡事故につながった事例も複数あります。損害賠償の額も数千万円~数億円になることも予想されます。
建物の倒壊といったシナリオが最悪のケースですが、ここに至るまでには、一般的に行政から「特定空家」や「管理不全空家」に認定されるといった不名誉な手続きを受けることになります。
「特定空家(危険な空き家)」とは、2015年に施行された「空き家対策特別措置法」に基づく区分で、以下のような状態にある空き家を指します。
①倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある
②生上著しく有害となるおそれがある(例:ゴミの異臭、害虫の発生)
③適切な管理が行われず、著しく景観を損なっている
④周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切
また、「管理不全空家(不完全空き家)」とは、2023年改正法により新設されたもので
①1年以上居住実態がなく、管理が不十分
②放置すれば将来的に「特定空き家」になる可能性がある
(例:窓ガラスの破損、雑草の繁茂、ゴミの散乱など)
が該当します。
「特定空家」と「管理不全空家」は、いずれも空き家対策特別措置法に基づく区分ですが、行政の介入度や法的措置の対象範囲に違いがあり、前者は命令や代執行まで可能なのに対し、後者は行政が介入できるのは指導・勧告までです。
いずれに該当しても固定資産税の住宅用地特例が除外され、勧告後は大幅な増税となります。
また、特定空家に認定された後、命令に従わない場合は最大50万円以下の過料が課される可能性があります。
松山市では、特定空家に認定する前に「管理のお願い」の文書が送られてきます。いずれにしてもこのような不名誉な認定を受けるまでに、大切な相続不動産の有効活用を考えていくことが大切です。
----------------------------------------------------------------------
行政書士谷村日出男総合事務所
愛媛県松山市祝谷東町乙 768-24
電話番号:080-4030-5666
FAX番号:089-916-6120
松山市の相続手続きをサポート
----------------------------------------------------------------------