相続手続き令和の改正 No1
2025/09/10
相続手続き令和の法改正 No1
令和になって相続に関わる様々な法改正が行われました。相続に関わる業務を行うものとして、改正前と比較し、随分と実態を反映したものに変わったと感じています。
2019年1月以降の改正について、シリーズで改正項目ごとに簡単に解説したいと思います。
一つ目は、2019年1月13日に施行された民法の改正で“自筆証書遺言の方式緩和”です。
自筆証書遺言の方式緩和は、相続トラブルの予防を目的として遺言の作成をより簡便にしたものです。
改正前の従来の方式は、遺言書の全文、日付、氏名をすべて遺言者が自書(手書き)し、押印が必要で財産目録も含めてすべて手書きでなければ無効とされていました。
昨今、OA機器が普及し様々な事柄がデジタル化されていく中で、自分の周りを見回しても手書き文書を見る機会が随分と少なくなっています。
改正後の方式は、遺言内容の本文こそ従来通り自書が必要ですが、財産目録は自書でなくてもパソコンで作成したり、預金であれば通帳コピーを添付したり、不動産であれば登記事項証明書等を添付することも可能になりました。財産目録の形式は自由でパソコンのExcelやWordで作成してもよいし、第三者に作成してもらっても構わないことになっています。
ただし、自らの遺言である証に財産目録の各ページに遺言者の署名・押印が必要となります。例えば用紙の表裏に記載がある場合は、その両面に署名・押印が必要となります。
これまでのように財産目録についてもだらだらと自書する必要はなく、パソコンで作成した文書を使ったり、登記簿や通帳のコピーを添付することが可能となったことから、遺言書作成の必要性を感じながら面倒だからと躊躇っていた方にとって、遺言書の作成が身近になったと考えられることでしょう。
また、登記簿や通帳コピーなどを添付することが可能とされたことによって、財産目録の正確性が向上することにも繋がり、ひいては遺言の利用促進と相続紛争の予防に寄与すると考えられています。
このように自筆証書遺言方式の緩和がもたらすメリットは大きく、特に、高齢者や財産が多く目録の作成が負担となっていた方にとっての効果は高いと考えられます。
また次の機会に触れますが、家庭裁判所での検認が不要とされた「法務局における自筆証書遺言書保管制度」の創設と相まって、自筆証書遺言書作成のハードルが下がったと感じる人は多いのではないでしょうか。
当事務所では、遺言書の原案作成、自筆証書遺言書保管制度の利用や公正証書遺言の手続き支援等にも対応しています。お気軽のご相談ください。
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行政書士谷村日出男総合事務所
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