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相続手続き令和の法改正(No4)

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相続手続き令和の法改正(No4)

相続手続き令和の法改正(No4)

2025/10/06

相続手続き令和の法改正(No4)
四つ目の改正は、2019年7月1日に施行された“一部分割”です。
一部分割(いちぶぶんかつ)とは、遺産分割協議において、相続財産の一部のみを先に分割する方法です。相続人間で全財産の分割協議が整わない場合でも、合意できる部分だけを先に処理することで、実務上の支障を軽減することができます。
制度の目的としては、遺産全体の分割が困難な場合でも、合意可能な財産だけを先に分割することで、相続人の利便性や財産管理の効率化を図ることや、相続税申告や不動産登記など期限がある手続きに対応しやすくするといったことが挙げられます。
改正前は、民法には「一部分割」に関する明文規定がなく、実務上は判例(例:昭和57年東京高裁判決)などを根拠に認められていましたが、改正後(民法907条)は、共同相続人は、協議または家庭裁判所の調停・審判によって、遺産の「全部または一部」を分割できることが明記されました。
これにより、協議によって相続人間で合意があれば、いつでも一部の遺産だけを分割可能になります。また、協議が整わない場合でも、家庭裁判所に一部分割を請求することができます。 ただし、他の相続人の利益を害するおそれがある場合は、一部分割は認められないこととなります。
実際の活用例としては、
・預貯金だけを先に分割して、葬儀費用や相続税の納付に充てたい場合
・不動産の評価や処分方法に時間がかかるが、現金はすぐ必要な場合
・相続税の申告期限が迫っており、評価が容易な財産だけ先に処理したい場合
などが考えられます。
実際の相続においても、ほとんどの事項について合意できているのに、一部についてのみ争いがあるといったケースは意外と多いものです。また、争いはないけど不動産を処分するのに時間がかかるといったケースも見受けられます。
改正法によって明文化されたことで、“預貯金の仮払い制度”と併せてよりスピーディーな相続問題への対応が期待されます。

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