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相続手続き令和の法改正(第三者対抗要件)

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令和の相続法改正(第三者対抗要件)

令和の相続法改正(第三者対抗要件)

2025/10/30

相続手続き令和の法改正(No6)
六つ目は相続の効力に関する改正"第三者対抗要件"です。
相続の効力に関する改正(第三者対抗要件)については、2019年(令和元年)7月1日に施行された民法改正が重要な転換点です。
この改正により、法定相続分を超える財産の取得には登記などの対抗要件が必要となり、第三者に対して権利を主張するためのハードルが明確化されました。
改正前の扱いでは、「相続させる旨の遺言」による不動産取得は、登記がなくても第三者に対抗可能とする判例(最判平成14年6月10日など)が存在していることから、登記をしないまま放置されるケースが多く、債権者や取引相手の保護に欠ける状態でした。
また、この判例の運用上の問題として、相続債権者や第三者が遺言の存在を知らず、登記を信頼して取引する危険や強制執行制度や登記制度の信頼性が損なわれるといった指摘がなされていました。そこでこれらを是正するため、改正が行われました。
改正後の扱いでは、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件がなければ第三者に対抗できないと明文化し、遺言、遺産分割、遺贈など取得方法にかかわらず、対抗要件が必要とされました。
改正法の民法899条の2は、法定相続分を超える部分については、取得方法(遺言・遺産分割・遺贈など)の別を問わず、登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないと定めています。

例えば、遺言で「長男に不動産全部を相続させる」としても、長男が登記をしなければ、法定相続分を超える部分については第三者(債権者・買主など)に対抗できなくなります。
実務上の注意点として、
①相続登記を怠ると、他の相続人の債権者による差押えや第三者への売却により、法定相続分を超える権利を失う可能性があります。
②相続人が複数いる場合、法定相続分での登記は単独でも可能なため、先に登記された持分に対しては対抗できなくなるといった問題もあります。
以前、ブログで不動産の相続登記が義務化され、「相続で不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に登記申請をする必要があり、登記を怠ると10万円以下の過料が課される可能性があることについて紹介させていただきましたが、「とんだ事になってしまった」と後悔しないで済むように、相続すれば確実かつ速やかに登記申請することを心がけましょう。
 

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