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令和の相続法改正(遺言執行者の権限の明確化)

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令和の相続法改正(遺言執行者の権限の明確化)

令和の相続法改正(遺言執行者の権限の明確化)

2025/11/21

相続手続き令和の法改正(No8)
八つ目の法改正は、遺言執行者の権限の明確化です。
遺言執行者の権限は、2019年施行の民法改正によって大幅に明確化・強化されました。
従来は、遺言執行者が「相続人の代理人」とされており、権限の範囲が曖昧でしたが、改正民法では、遺言執行者が「遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行う権利義務を有する。」と明記され、法的地位が独立したものとして確立されました。
遺言執行者の主な権限については、
◇通知義務(民法1007条2項):遺言執行者は就任後、速やかに遺言内容を相続人に通知する義務があります。
◇財産目録の交付(民法1011条):相続人全員に対して、執行対象財産の目録を交付する義務があります。
◇相続財産の管理(民法1012条):遺言の内容実現のため、財産管理や必要な手続き(登記、払戻し等)を単独で行えます。
◇登記申請権限(民法1014条):特定財産承継遺言がある場合、遺言執行者が相続登記を申請できます。
◇預貯金の払戻し・解約(民法1014条3項):特定財産承継遺言がある場合、遺言執行者が金融機関に対して払戻し・解約を請求できます。
◇遺贈の履行(民法1012条):遺言執行者が遺贈義務者となり、受遺者に対して履行を行います。
◇相続人の廃除・認知(民法893条・781条):家庭裁判所への申立てなど、遺言執行者にしかできない手続きがあります。
◇訴訟追行権:上記のほか判例に基づいて遺言執行に関する訴訟の当事者となることができます。
以上のように、遺言執行者は相続人の代理人ではなく、あくまで独立した立場で行動することができ、相続人が遺言執行を妨げる行為(財産の勝手な処分など)は無効とされています(民法1013条)。ただし、善意の第三者には無効を主張できないとする保護規定もあるので注意が必要です。
民法1006条により、遺言者は遺言で1人または複数の遺言執行者を指定することができ、成年(18歳以上)で破産していない者であれば誰でもなれるため、相続人や受遺者を指定することもできます。ただし、相続人を遺言執行者に指定すると、利益相反の可能性(他の相続人から「中立性に欠ける」と疑念を持たれるおそれ)や「相続人廃除」「認知」など相続人自身に不利益となる内容を含む遺言では、その相続人は執行者として不適格とされる可能性があります。
従って、中立性や専門性が求められる場合は、若干の費用は掛かりますが相続人と利害関係のない士業など専門職を指定する方がスムーズな場合もありますので、まずは遺言作成前に相談されることをお勧めします。
 

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