行政書士谷村日出男総合事務所

令和の相続法改正(遺留分に関する改正)

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令和の相続法改正(遺留分に関する改正)

令和の相続法改正(遺留分に関する改正)

2025/12/23

相続手続き令和の法改正(No9)
九つ目は、遺留分に関する改正です。
遺留分制度は2018年の民法改正(施行は2019年7月1日)により大きく見直されました。
改正の背景として、従来の「遺留分減殺請求権」は、相続財産そのものに対する物権的請求が可能であり、結果として不動産の共有化など実務上の混乱を招いていたため、これを是正して請求権の性質を金銭債権化することにより合理的な制度へと変更されました。
従前との最大の違いは、「現物返還」から「金銭請求」へと変わったことで、これによって共有状態の発生や処分困難な不動産の分割といった実務上の混乱が大幅に減ることになりました。
改正の主なポイントを挙げると、
①    遺留分減殺請求権の廃止と金銭請求化
これまでの「遺留分減殺請求権」が「遺留分侵害額請求権」へと、請求権の性質が変わることで、遺留分侵害額に相当する「金銭の支払」を請求する権利に一本化(民法1046条)、不動産の共有化や処分困難といったトラブルを回避することができます。
②    対象となる贈与の見直し
原則として「相続開始前10年以内の贈与」のみが対象(民法1044条)とされ、相続人以外への贈与は原則1年以内とされました。ただし「悪意の贈与」については期間制限がありません。また、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合は、贈与とみなして算入されます。
③    請求期限の明確化
請求期限は相続開始および侵害を知った日から1年、または相続開始から10年のいずれか早い時点で時効消滅(民法1048条)します。
④    金銭債権の支払い猶予制度の創設
遺留分を侵害した受遺者や受贈者が、直ちに金銭を支払うことが著しく困難な場合に、裁判所が相当の期限を設けて支払いを猶予できる制度(民法1047条2項)が創設されました。
これによって、例えば
◆遺贈された不動産しか資産がなく直ぐに売却できない
◆高額な遺留分侵害額を一括で支払うと生活が破綻する
◆相続税や他の債務の支払いと重なって資金繰りが困難など
直ちに支払うことが著しく困難な事情があれば、裁判所が相当の期限を許与することが可能になりました。このほか遺留分の割合等についてはこれまでと変更はありません。
実際の相続においては、実務上の対応として遺言書を作成する時点で遺留分侵害の可能性と金銭支払い能力を考慮した内容とすることが必要となります。相続が争族にならないように専門家と相談して対応されることをお勧めします。
 

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